2019/09/23[mon] update

【活性の火'19】フェスレポート

雨にも風にも負けず駅前が音楽に燃えた熱い2日間

苫小牧の中心市街地に“活性の火”を灯そうと、地元の若い世代によって立ち上げられた無料音楽フェス「活性の火’19」。6回目となる今年は、8月最後の週末、メイン会場を従来よりも広い若草中央公園に移し、これまでのまちなか会場と合わせ延べ2万9千人の聴衆でにぎわった。2015年から協賛として活動を応援するシゴトガイドでは、今回も熱気に包まれた2日間をレポートする。

【開催に寄せて】開催前インタビュー

活性の火'19実行委員長
杉村原生(すぎむらげんき)さん
会場移転で心機一転!
新しい活性の火を成功に


今年で6回目になりますね
昨年は台風の影響で天候対策に追われ、持ち味を出し切れなかった悔しさがあります。過去5回で積み上げてきた経験と反省を基に、今回は初心に返って活性の火と向き合いました。新しい活性の火を大成功させて、こんな楽しくて遊べるフェスが苫小牧にあることを認知してもらいたいです。

今回は新しい会場ですね
フェスの成長と共に前会場の広さには限界を感じていましたし、出演者を増やすためにも大きな会場が必要です。ロケーションが変わったことで、まちなかで大きい音を出すという非日常感はなくなる代わりに、お祭りとしての新たなシーンを創出できます。変更に伴う対策として、メイン会場とまちなかの会場をつなぐバスを運行し、人の流れを中心街に呼び込む仕掛けにします。

今年のフェスの見どころは?
5カ所のステージで過去最多の95組が出演します。会場が広くなった分、飲食エリアがビアガーデン的空間になり、フェスそのものをゆったり過ごしてもらえると思います。ステージという枠を取り払い、とにかく一度会場に足を運んでもらって、フードを味わうだけでも良いので、それぞれの楽しみ方を見付けてほしいと思います。

活性の火にひとこと!

直弥さん(ボランティアスタッフ/旭川から)
旭川に転勤になりましたが、手伝いに来ました。“苫小牧には何もない”と言われるけれど、こんな楽しい無料の遊び場があることをみんなに広めたいです。
なづきさん(出演者/苫小牧から)
中学生の時から見ていた活性に初めて出演できてうれしいです。また来年も出られるように頑張って、まちの活性化の力になれたらいいなと思います。
あゆみさん、理沙さん、昌克さん、崇史さん(函館から)
これだけのフェスを無料で開いているのは、苫小牧の活性だけです。これからも続けていくことがロックンロールなんじゃないかと思います!
沙紀さん、紬(つむぎ)ちゃん、協(かなう)さん(厚真から)
大きなフェスに比べて子どもが迷子にならない規模なので、家族で来やすいです。僕らと一緒で苫小牧も被災地。このフェスが復興にもつながればいいですね。
あづささん(苫小牧から)
生まれ育った苫小牧だけど、中心部はちょっと寂しい。でも、こんな素敵なまちおこしのイベントが開かれて、いろいろなバンドを見られることがすごくうれしいです。
麻美さん、かおりさん、千恵子さん(札幌から)
他のフェスにもよく行きますが、活性は地元の若い人たちが一生懸命やっていて、手作り感があって楽しいです。1回目からずっと来ているので、ぜひ続けてほしいですね。
正人(まさと)さん(活性の胃出店者/苫小牧から)
道内外からたくさんの人が集まるので、苫小牧の名物のPRになりますし、夜は若い人たちが流れて繁華街の活性化にもつながっていて、すごく良い取り組みだと思いますよ。

1日目/8月24日(土)

聴衆熱狂!フェス日和の1日目

青く澄み渡った初秋の高い空。前日まで3日間続いた雨の中、困難な設営に汗を流したスタッフたちが切望した晴天の朝だ。午前10時という音楽フェスにしては早めのスタートにもかかわらず、会場には続々と聴衆が集まってくる。今回初めて会場に隣接して設けられた駐車場には、函館や旭川、釧路など地元以外のナンバープレートも目に付く。
開幕に先立って開かれたオープニングセレモニーには、毎年?天気だけは任せろ〝と豪語する岩倉博文苫小牧市長と公式キャラクターのとまチョップ、衆議院議員の山岡達丸さんが登壇。続いて、杉村さんが「存分に楽しみましょう!」と、フェスのスタートを高らかに宣言した。
残暑の日差しが照り付ける中、活性の火ではおなじみのバンドが次々と登場。ステージ狭しと繰り広げられるパフォーマンスに、会場はあっという間に熱気に包まれた。今回はメインステージを2カ所設置。一つは「活性ステージ」、もう一つは第1回からボランティアスタッフとして携わる室蘭工業大学オリジナルフォーク愛好会にちなみ「オリフォーステージ」と名付けられている。両ステージを交互に使って次々と個性の異なるバンドが登場し、聴衆を休む間もなく楽しませた。
朝は多少ぬかるんでいた地面も、昼過ぎには完全に乾いた。今回もフードコート?活性の胃〝は大繁盛。苫小牧名物ホッキカレーをはじめ、ファストフードからデザートまで楽しめるメニューになっている。8月の終わりの強い日差しの下、ビールで渇きを癒やす人々の姿が目立つ。時折パラつく通り雨も、熱く波打つ聴衆たちには恵みの雨。あっという間に日は傾き、熱狂の初日は幕を下ろした。

2日目/8月25日(日)

通り雨にも負けない熱い活性の灯火

初日ほど日差しは強くなく、さわやかな秋空の下でスタートした2日目。昼ごろから断続的ににわか雨が襲うが、フェス慣れした聴衆はサッと傘やかっぱで対処する。装備のない人々も帰らず、フード出店者が提供するテントの下で待機。今回会場直結で用意された駐車場も、車内での雨宿りに便利だったようだ。太陽が顔を出すと、ボランティアスタッフがイスとテーブルのふき取りに忙しく動き回った。  
この日は駅前広場にもステージが設けられ、道行く市民も気軽に見物。駅前通りのライブハウス・エルキューブとアカシアステージをメイン会場まで結ぶバスも、毎便多くの人が乗り降りしている。広くなったスペースを利用し、地元企業や王子製紙アイスホッケー部もPRブースを展開。今までの活性の火にはなかったシーンが加わり、イベントとしての成長ぶりが見て取れる。
日が傾くにつれ気温が下がる一方、会場のボルテージは最高潮へ。大トリはメジャーシーンで活躍している苫小牧出身のNOT WONK(ノットウォンク)。杉村委員長が「彼らの活動の軌跡は苫小牧の象徴。彼らがいないと活性の火は成り立たない」と思いを寄せるバンドだ。ステージの最後を飾る全身全霊を捧げたパフォーマンスに、聴衆の拍手は鳴り止まなかった。
夕暮れ迫るころに迎えた閉幕。ステージ上にボランティアスタッフが集められ、杉村さんがあいさつに立つ。「苫小牧を楽しいまちにするには、僕たちが日々成長し、変わっていかなければならない。来年もまたこの場所で再会したい。どうか活性の火をこれからも応援してください」。会場からは惜しみない温かな声援と拍手。ステージと会場が一体となってこぶしを振り上げた「アクティブファイヤー!」コールが、熱い2日間を締めくくった。
メイン会場と“まちなか”エリア間を結ぶ無料バス。歩いて10分程の距離とはいえ、ステージを立ち見している人たちにとって「便利」と高評価
入場する際に必ず通る「晴天祈願ウエルカムステージ」はアコースティックが中心
シゴトガイドが毎年提供するスタッフTシャツ。今年は “Nothing will change unless we change”=私たちが変わらなければ何も変わらない=と刻まれている
緑の中の「アカシアステージ」。いつもは静かなまちなかにロックがこだまする
グッズの売れ行きも好調で、Tシャツはほぼ完売した
小さい子どもたちが安心して遊ぶことができる無料託児コーナーも
テーブルとベンチが増え、ゆっくりフードを楽しめるようになった
シゴトガイドは、間伐材を使ったわりばしを出店業者に提供し、環境保全への理解と協力を呼び掛けた
暑さに誘われ、売れ行き上々の“活性の胃”

聴衆の期待に応える大きな活性の火に

活性の火'19を終えて

今回会場を変えてリスタートしたことで、活性の火の一つの形を作ることがようやくできました。今年は天気に恵まれたこともあり、楽しい会場の雰囲気をつくれたと自負しています。初めての会場で運営的に行き届かなかったところもありますが、思っていた以上に会場がフェスとマッチし、幅広い層のお客さんにエンジョイしてもらえたのではないでしょうか。会場内での募金、クラウドファンディングの額が大幅に伸びたことも、来場者の皆さんが活性の火を評価してくださった結果。裏切ることのないよう、次回につなげたいです。
僕自身、6回目にして初めて「楽しい」と肌で感じることができたし、フェスの成功が人を呼び、更には中心市街地や地域の活性化に貢献していけることを確信しました。来年も今年以上に活性の火を大きくするために、突き進んでいきます。